無線の種類
私がワッチしている鉄道無線の紹介。
鉄道関係で使用される無線は他にも種類(防護無線とか)があるが、ワッチしたことがないので割愛する。
列車無線
列車の乗務員と指令室との交信に使用され、以下の2タイプに分類される。
Aタイプ:Full Duplex(全二重通信,複信)方式の列車無線、同時通話が可能。
Bタイプ:Half Duplex(半二重通信,半複信)方式の列車無線、一方が送信している間は受信を行う。
周波数は下表のように8チャネルあり、路線ごとに使用するチャネルが異なる
(高崎線のように区間を区切って使用するチャネルを変える路線もある)。
基地局(指令室)と移動局(列車)とで発信する周波数が異なるが、
移動局側から発信された音声は基地局側からも流しているため、
受信する際は基地局側のみをワッチしていればよい。
通話の無いときは基地局から2880Hzの空線信号(ピーの連続音)を発信しているため、
空線信号を受信中はスケルチを閉じる機能(空線キャンセラー)
がある受信機を使用するのが望ましい。
2007年8月26日、山手線の列車無線がデジタル化された。
今後首都圏の列車無線はデジタル化され、デジタル化と同時に暗号化もされる。
神保原以北の高崎線及び上越線(高崎〜新前橋)は2008年度第三四半期に、神保原以南の高崎線も2008年度第四四半期にはデジタル化される予定。
高崎支社管内がデジタル化されるまでには時間がかかると考えていたが、予想外に早くデジタル化されるようだ。
しかし、八高線・吾妻線は今回のデジタル化の予定には入っていなかった。
暗号化されると鍵がなければ信号を復号化できなくなるため、ワッチすることは不可能になる。
また、複合化自体が違法行為であるため、ラジオライフ等の雑誌に複合化する方法が載ることもないだろう。
(追記)
2009年1月25日、神保原〜新前橋間の列車無線がデジタル化された。
なお、首都圏では7Ch.で旅客一斉情報が放送されている。旅客一斉情報には空線信号は流れていない。
これは東京をはじめとする首都圏各地の輸送指令室(東京,千葉,高崎)から各線区の運転状況等を一方的に流すもので、
駅等には有線で伝えられている。
Ch. | 型式 | 出力 | 基地局 | 移動局 |
---|---|---|---|---|
1 | F3E | 25W | 352.5375MHz | 336.0375MHz |
2 | 352.5500MHz | 336.0500MHz | ||
3 | 352.5625MHz | 336.0625MHz | ||
4 | 352.5750MHz | 336.0750MHz | ||
5 | 352.5875MHz | 336.0875MHz | ||
6 | 352.6000MHz | 336.1000MHz | ||
7 | 352.6125MHz | 336.1125MHz | ||
8 | 352.6250MHz | 336.1250MHz |
乗務員無線
乗務員同士の交信に使用される。
同じ列車の運転士と車掌とで通話を行うほか、機関車が重連やPP(プッシュ・プル)の時の運転士同士、
運転士と別の列車の運転士とでも通話を行う。
客車列車の場合は戸閉め確認等で運転士と車掌が乗務員無線で通話を行うが、
電車・気動車列車の場合は乗務員無線ではなく車内電話を使用して連絡することが多い。
そのため、電車・気動車列車で運転士と車掌の間での無線通話は、始発駅での通話試験くらいにしか使用されていない。
このほか、乗務員と駅長・乗務員と指令室との交信にも使用される。
その際、通常の列車無線(Aタイプ・Bタイプ)に対応してCタイプ無線とも呼ぶ。
周波数は下表のように3チャネルあり、使用目的ごとにチャネルを変える。
基地局・移動局という概念はなく、すべて同じ周波数を使用する。
乗務員無線の周波数帯は受信機器メーカの自主規制により受信できないことが多く、
受信改造を行った受信機を使用する必要がある。
Ch. | 型式 | 出力 | 周波数 | 通話使用例 |
---|---|---|---|---|
入換 | F3E | 1W | 414.4250MHz | 乗務員と指令室 駅構内の入れ換え |
上り | 414.5500MHz | 上り列車乗務員同士 上り列車乗務員と駅 | ||
下り | 415.2000MHz | 下り列車乗務員同士 下り列車乗務員と駅 |
構内無線
基地等の入れ換えや社員同士の連絡に使用される。
駅での入れ換えには乗務員無線(入換波)を使用する駅(例えば高崎駅)もあるが、
乗務員に構内無線機を渡して連絡を行う駅(例えば倉賀野駅)もある。
JR貨物が2008/3/12に『新中期経営計画「ニューストリーム2011」』を発表した。
この中の『技術開発の戦略』には、
駅構内の入換作業における車両誘導の自動化を目指したGPS機能付デジタル式無線機の開発
周波数は下表のように12チャネルある。
Ch. | 型式 | 出力 | 周波数 |
---|---|---|---|
1 | F3E | 1W | 365.1750MHz |
2 | 365.1875MHz | ||
3 | 365.2000MHz | ||
4 | 365.2125MHz | ||
5 | 365.2250MHz | ||
6 | 365.2375MHz | ||
7 | 365.2500MHz | ||
8 | 365.2625MHz | ||
9 | 365.2750MHz | ||
10 | 365.2875MHz | ||
11 | 365.3000MHz | ||
12 | 365.3125MHz |
列車接近警報
保線作業員が沿線で作業する際に、安全確保のため列車の接近を知らせるのに使用する。
正式名称を「TC型無線式列車接近警報装置」と言い、JR東日本総合技術開発推進部テクニカルセンターが開発を行った
(TCはテクニカルセンターの頭文字)。
既設の沿線電話回線を利用して無線により列車接近情報を作業員に伝えるシステムで、
JR東日本管内の主要路線(約5,200km)に設置されている。
高崎支社管内では高崎線,上越線(高崎〜新前橋)に設置されている。
閉塞区間内に列車がいない場合は、信号音(約3秒間隔のピーの断続音)が発信される。
閉塞区間内に列車が進入すると、「下り接近」または「上り接近」の音声(女声)が発信される。
上下列車が同時に進入した場合は、「上り下り接近」という音声に変わる。
複々線だと「○○上り接近」のように路線の識別が追加される。
山手線や京浜東北線では方向を上下で表現しないため、
「京浜北行南行接近(男声)、山手(やまて)内回り外回り接近(女声)」
のようになる。
線路沿いに基地局が点在しているため、遠方の基地局からの信号も受信してしまい、混信することがある。
そのため、受信機のアッテネータを有効にしたり、スケルチを閉じ気味にする必要がある。
型式 | 出力 | 周波数 |
---|---|---|
F2D | 1W | 399.8000MHz |
特定小電力無線
駅構内のアナウンス等に使用される。
C型ラジオマイクが使われ、周波数は下表のように13チャネルある。
出力が弱いので、駅から離れたところから受信するのは不可能。
Ch. | 型式 | 出力 | 周波数 |
---|---|---|---|
11 | F3E | 0.001W | 322.0500MHz |
12 | 322.1000MHz | ||
13 | 322.2500MHz | ||
14 | 322.3500MHz | ||
21 | 322.0750MHz | ||
22 | 322.1250MHz | ||
23 | 322.2750MHz | ||
24 | 322.3750MHz | ||
31 | 322.0250MHz | ||
32 | 322.1500MHz | ||
33 | 322.3250MHz | ||
34 | 322.4000MHz | ||
41 | 322.3000MHz |
私鉄の無線
無線はJRグループだけでなく私鉄でも使用されている。例えば地元の上信電鉄では149.8500MHzが使用されている。
型式 | 出力 | 周波数 |
---|---|---|
F3E | 50W | 149.8500MHz |
もみじ平総合公園に保存されているデキ2号機の八木アンテナ製の無線アンテナ。
周波数は149.85MHzとある。
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